木のある心地よい暮らし

無垢フローリング材、木材のプロがおすすめする樹種5つ

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選び方のポイント2.動きの少ない樹種を選ぶ

無垢フローリングが水分を含んで膨張したり、乾いて収縮することは、木が自然の生産物である限り避けられません。ただ、「平均収縮率(含水率15%時の幅(長さ)を基準に、含水率が1%変化したときの収縮量の割合)」が小さい樹種を選ぶようにすれば、比較的狂いは出にくいと考えられます。

ブナやイスノキなどは平均収縮率の高い部類に入り、狂いが出やすいので要注意。逆に杉や松などの針葉樹、日本ケヤキやカリン、チークなどは収縮率が小さく、形状安定性にすぐれた樹種です。

あまり収縮率の大きなものは建築材としては適さず、フローリング材として出回ることはありませんが、「一般的ではないがこの樹種を使いたい」といった場合には、一度平均収縮率を調べておくと良いでしょう。

板目(いため)と柾目(まさめ)

【板目(いため)と柾目(まさめ)】

平均収縮率は、同じ樹種であっても、どの方向に板を切り出したかによって大きく異なります。
丸太の中心からずれて挽き、年輪が山形や筍形に表れたものは板目(いため)。いっぽう丸太の中心に向かって挽いた、年輪が平行に表れているものは柾目(まさめ)と呼びます。

柾目材の収縮率は板目材の半分ほどで、一本の丸太から多くは取れませんが、反りや収縮などの狂いが少なくなります。
実際のフローリング材には板目と柾目が混在します。収縮率を見るときには、板目と柾目両方の数値を総合的に見るようにしましょう。

選び方のポイント3.しっかり乾燥処理された木材を選ぶ

木材の寸法を狂わせる主な原因は「水分」です。それに対する最も有効な手段が、乾燥をしっかりと行うこと。
木は、乾燥を行う前の生材の状態では、中心に近い部分の含水率はだいたい35%以上、外側に近い部分では100%以上あります。これを自然状態で一定期間乾燥させると、これ以上は含水率が下がらない平衡状態に。このときの含水率を「平衡含水率」といい、日本ではだいたい15%ほどです。

この乾燥が不十分なまま住宅に使ってしまうと、寸法が安定せず、反りや割れ、狂いが発生しやすくなります。また水分を含んだ木材は強度も出にくく、虫害なども起こりやすくなります。
含水率15%程度にまでしっかり乾燥を行うことは、ある意味で樹種選び以上に重要といえるかもしれません。

しっかりと乾燥処理されているものを選ぶには、安さや早さばかりにとらわれないことが大切です。建築家や施工業者など、ふだんから木材を取り扱っている専門家のアドバイスに耳を傾けることも役立ちます。

無垢フローリングは、我が家の空気の調整役

気温・湿度変化の激しい日本で快適に住まうために、ぜひ利用したい天然木の調湿効果。
しかしそのメリットの分、環境変化に合わせてフローリングに若干の「動き」が出ることは避けられません。

今回は比較的動きの少ないおすすめ樹種を5つご紹介しましたが、それでもやはり完全とはいきません。
生活に支障のない範囲での動きは、木が湿気を吸収・放出している証拠です。

「我が家の空気を整えてくれているんだな」とおおらかに受け止めるようにすると、無垢フローリングと末長く、上手に付き合っていけるでしょう。