木のある心地よい暮らし

無垢床の10年後って?無垢床ユーザーの声で検証します

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色が変わる?無垢床は色の変化を見越して選ぶ

色が変わる?無垢床は色の変化を見越して選ぶ

無垢床の変色の大きな要因は「光」。さまざまな波長の光のなかでもとくに紫外線の影響は強く、時間をかけて木材の色を変化させていきます。当然、室内照明も光のひとつ。無垢材が空気に触れている限り変色は避けられません。しかし、時を重ねて色あいが変化していくことは無垢床の大きな魅力でもあります。マイホームで、ともに人生の時間を刻んだ家族と同じように無垢フローリングも色味を変え、深みと風合いを増していくのです。

「わが家はカバザクラのフローリングです。照明の当たっているところは黄色っぽく飴色に、窓際の陽当たりの強いところは色味が濃くなり赤っぽくなりました。施工当時は明るかった色味が落ち着いて、年々高級感が出てきますね」

無垢材には大きく分けて「色が濃くなる木材」と「色の明るさが増す木材」があります。
カバザクラやオーク、パイン材は年月とともにほんのりと色味の深さを増していきます。とくにパイン材はもともとの白っぽい色合いが深い飴色に。
一方、もともと黒味が強いウォルナットやアッシュ、バーチ材などはダークブラウンからライトブラウンへ、明るい色味に変化します。無垢フローリングの樹種を決めるときは、あらかじめ木材業者のショールームで色味の変化を確認しておくとよいでしょう。

無垢床が年月を経て、エイジングされ色味を変え、ツヤをたくわえ育っていき、アンティーク家具のように美しい輝きを放つようになるまでの暮らしを想像するとなんだかワクワクしてきませんか。

ただ、じつは木材の色が変化するのは木の表面から0.2ミリほどの深さまで。表面を削れば、またもとの色があらわれてきます。これは複数の板を貼り合わせた複合(合板)フローリングには真似できない無垢床ならではの特長です。

木の香りは持続する?森のなかにいるような空気

木の香りは気分を爽快に、ストレスをおさえてリラックス効果ももたらしてくれます。これは木からフィトンチッドという揮発性の香り物質が発散されているから。森林浴の効能として紹介されることの多いこの香り成分は、生きている無垢床からも放出されます。では、このかぐわしい香りはどのくらいの期間持続するのでしょうか?

「新築から3、4年ほどはしっかり木の香りを感じられました。その後は徐々に薄れてきましたね。ただ、それには慣れもあるようで友達を家に招くと、いい木のにおいがする!って言われますよ」

そして、無垢床とあわせて壁材を自然素材の漆喰にした方からはこんな声も。

「部屋から生活臭がしないね!といわれます。無垢床からのフィトンチッドの殺菌効果や、漆喰の消臭作用が効いているのだと思います」

すまいの性能をはかる「住宅性能評価」には、シックハウス対策・換気といった空気環境が評価項目に含まれていますが、あくまで建築に用いられた建材などから出る「室内への有毒物質の発散量、換気対策の評価」であり、木の香りへの評価基準はありません。しかし、数字で測れなくとも、無垢フローリングや自然素材の壁が毎日暮らす環境に与える影響はとても大きいと言えそうです。

10年たっても無垢床の良さは変わらない

「100%のお手入れはむずかしい。でも、気楽に付き合っていっても無垢フローリングは大丈夫な素材。なにより、この10年は木の良さをたっぷり感じられました。これからもよろしく、って感じです」

お話をうかがった無垢床との生活が長いみなさんも、無垢フローリングを採用した当初は不安をおぼえていた方々ばかり。しかし、みなさんの声は心配や面倒さよりも、木のある暮らしを過ごしてきた喜びにあふれていました。

どんな床材も歳月を経て、経年劣化していきますが、無垢床は劣化せず育っていく。
キズや凹みは家族が暮らしてきた証、しだいに変わっていく色味は歳月の重みを感じさせてくれます。10年なんて途中経過30年、50年と生涯にわたって付き合える床材、それが無垢フローリング、無垢床なのです。