木のある心地よい暮らし

木のある暮らし。五感すべてで心地よさを受けとめる

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心地よい音にする:木と聴覚

日常で耳にする木の音、たとえば、まな板で何かを切る音「トントン」、火の用心の拍子木「カチカチ」、もう少し昔なら下駄で歩く音「カランコロン」。実際に耳にすることは少なくなりましたが、木の音をあらわす擬音語は、今でもなじみ深いものが多いですね。

木には音を響かせる効果のほかに、吸音機能をもっています。木のなかのたくさんの管が、低温・中音・高音をバランスよく吸収して不快な雑音をなくし、聞こえる音をまろやかにしてくれるのです。
コンサートホールや録音スタジオの内装に木がよく使われているのは、このためなのですね。

最後にご紹介したいのが「リラックス効果」です。
木材は自然の中の音、木の葉が風に揺れる音や、虫や鳥の声などに含まれている「超高周波音」を適度に通します。聞こえていることに気づけないほどの高音ですが、この音が私たちの耳に入ると、脳波にアルファー波が発生してリラックスできることが最近の研究でわかってきました。

ふだん意識していなくても、木は聴覚からもいい影響を与えてくれているのですね。

おいしく感じさせる:木と味覚

お寿司の酢飯は「半切(はんぎり)」という浅い桶で合わせると、木の調湿効果によって、ちょうどいい具合に熱や水分が飛んで、艶のある、おいしいシャリになります。
木の「おひつ」の蓋を開けたとき、ほんのり漂う木の香りに食欲を感じたり、手触りや舌触りの柔らかい木のお皿やスプーンを使うだけでも、なんだか食事がおいしく感じられる。

ふだんと変わらないメニューでも、木製品を使うだけで味覚とともに嗅覚や触覚も刺激して、味わいをレベルアップしてくれているかのようです。
木の食器や道具を取り入れると、料理の腕が上がったねと言われるかもしれませんよ。

木のある暮らしが、気持ちの幅を広げてくれる

木や木製品が身近にあるだけで、私たちは五感を通じて心地よさを感じていることがわかりました。
またそのほかにも、ほかの素材にはない楽しみや安らぎを感じていることに気がつきます。

木の食器を洗うとき、軽くて触り心地がよいので、洗うこと自体を楽しめます。
またバタバタと急いでいる朝も、木の靴ベラを使って靴を履くと、あわただしい気持ちも少ししずまり、気持ちよく出かけられます。

ものごとの捉え方や感じ方の幅が、以前より広がる。これも、木のある暮らしの魅力のひとつといっていいのではないでしょうか。