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本当は桜ではない樺桜が床材として人気な理由とは?

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本当は桜ではない樺桜が床材として人気な理由とは

春になるとピンク色の花を咲かせる桜は日本人にとってなじみ深い木。
無垢フローリングとして用いられることの多い木材である「樺桜」や「西南桜」「水目桜」は、一見、桜の仲間のようですが、実はカバノキの仲間で桜とは全く別の樹種。建築業界では、これらを「サクラ」と呼ぶことが多いのです。

現在では桜よりもカバノキ科の木材の方が無垢フローリングとして使われるように。
それぞれの樹種の魅力を掘り下げると、納得できる理由が見えてきました。

カバノキ科の樹種に「桜」と名付けられた理由

樺桜などのカバノキの材を「バーチ材」と呼びます。
木目や木質が桜と似ている部分が多い素材なため、桜の代用品として使われたことがきっかけで「桜」の名で呼ばれはじめました。日本人が桜好きで、イメージが良かったことも理由の1つだったのでしょう。

代用品と言ってしまうと、何かが劣っているように感じますが、そんなことはありません。むしろ、優れた面もあるほどです。それぞれの「サクラ」材の違いを説明していきましょう。

本当の「桜」の樹種2つ

山桜

お花見でおなじみの桜も、床材として使われています。
バーチ材と区別するために本桜とも呼ばれる「山桜」。アメリカに自生する「ブラックチェリー」も桜の仲間です。両者とも床材のほかに高級なインテリアや楽器に使われることが多く、上品で大人っぽい雰囲気が特徴です。

山桜(本桜)

ピンクの花びらと同じように、木肌も淡いピンク色で優雅さが感じられます。
浮世絵にも登場するほど、昔から日本人に親しまれている木材です。
フローリングに使用すれば、淡いピンク色の木肌が時を経るとともに赤みが強くなっていき、上品さを増していきます。

平米単価:
1万円~1万6千円
樹種:
バラ科サクラ属
材種:
Cherry
主な産地:
本州中部以北、中国
木肌:
淡いピンク色。なめらかな手触り
木質:
ほどよい硬さと粘り気がある。
木目:
はっきり
経年変化:
淡いピンク色→赤褐色

ブラックチェリー

大ぶりで赤黒いアメリカンチェリーを実らせる樹種ですが、床材は淡いピンク色です。山桜と同じく経年変化により赤褐色に変化していき、出てくるあめ色の光沢はインテリアをラグジュアリーに変え、大人の雰囲気を演出します。

ブラックチェリーの木材は、表面に黒い筋や反転が見られるものがあります。これは「ガムポケット」という、樹木の成長段階で染み出た樹脂が固まったもので、自然の趣を感じられる無垢材ならではの味です。

平米単価:
1万円~3万円
樹種:
バラ科サクラ属
材種:
Cherry
主な産地:
北米北東部
木肌:
淡いピンク色。なめらかな手触り。
木質:
きめ細やかで艶やか。
木目:
はっきりしておらず優しい
経年変化:
淡いピンク色→あめ色の赤褐色

「山桜」と「ブラックチェリー」は高級さと上品な雰囲気が強く、経年変化がはっきりと現れるので、住宅の雰囲気を大人なものにしたいという方におすすめの床材です。
しかし、高価格なのは、やはりネックですね。

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