木のある心地よい暮らし

フローリングに息吹を吹き込む技。なぐり加工とは?

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フローリングに息吹を吹き込む技。なぐり加工とは?

なぐり(名栗)とは、木材の板や角材に独特の削り痕(あと)を残す表面加工技術のこと。奈良時代から始まったという説もあるほど長い歴史を持つ日本の伝統技術・なぐりは、もともと虫食いを予防するために始まったと言われています。現代では意匠性を高めるデザイン要素としてフローリングや門扉、天井や梁などに施されることが多いようです。

大変手間がかかるなぐり加工はぜいたく品の象徴であり、多様な加工方法で道具の痕跡を残した柄をほどこす味わい深い技法として注目を集めています。今回は非常に奥が深い「なぐり加工」の世界をご紹介します。

※ 画像は鎌倉時代の絵巻物『春日権現験記』
国立国会図書館デジタルコレクションより

なぐり加工の目的と方法

なぐり加工の起源は諸説ありますが、そのなかでも山から木材を運搬する際、虫に食われないように皮やシラタ(樹皮に近い部分で腐りやすく、虫がつきやすい)を削った加工から考えられたという説が有力です。あくまで下処理が目的であったなぐり加工ですが、千利休が意匠材として茶室の表舞台に取り入れたことで可能性が広がり、さまざまな柄が考案されるようになりました。現在では住まいのなかに木の趣きをあたえる技術として、そのデザイン性が重視され用いられています。

そんななぐり加工は基本的に職人による手作業で行われています。釿(ちょうな)と呼ばれる工具を使って、なぐりの起源に近い形で丸太の表皮やシラタを削る(山なぐり)、角材や板材に製材してから表面を加工する(化粧なぐり)の2種類があります。

そんな伝統的ななぐり加工も、近年は技術を持った職人が減少しつつあります。また、機械加工でなぐりができるようになったことから、今では機械を使っているメーカーも少なくないようです。

フローリングになぐり加工を施すメリット

なぐり加工は天井や梁、門扉、壁一面などさまざまなスペースにほどこすことができますが、そのなかでも居室や廊下などのフローリングに取り入れるのがおすすめ。他の住宅とは一味違うオリジナリティを演出できますし、加工の種類や模様によっては和室にも洋室にもマッチします。フローリングに自然な凸凹を作ることで足に心地のよい刺激を感じられ、滑りにくくなる効果も。また、なぐり加工をほどこした床は外光を適度に拡散してくれるため、お部屋のなかにやさしい光の揺らめきを生みだしてくれます。

フローリング以外でなぐり加工を取り入れたい場所は?

床以外の場所になぐり加工を取り入れる場合は天井や柱、壁など、フローリング同様目に見える場所に施す事例が多く見られます。また、床や壁全体ではなく縁側や手すりなど、部分的に取り入れるとインテリアのアクセントになっておすすめです。

なぐりの代表的な加工方法