木のある心地よい暮らし

フローリングに息吹を吹き込む技。なぐり加工とは?

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なぐりの代表的な加工方法

なぐりにはさまざまな加工方法がありますが、ここではそのなかの5つをご紹介します。

ちょうなのハツリ

なぐり加工でよく見られるチョウナのハツリとは、チョウナで木の表面をはつり取って加工を施したものです。木目に沿ってなぐり取ることで六角形のような形が連なります。

突き鑿(つきのみ)なぐり

なぐり加工はチョウナだけではなく、木材の溝堀などに使われるツキノミで行われることもあります。ツキノミなぐりは、製材した木材をノミで削りとる方法。木材を横からつくことで横筋が一直線につき、見方によってはくっきりと陰影が写し出されます。シンプルなデザインで、どのような場所にもマッチする加工方法です。

ナイフカット

鋭角な削り跡を活かした模様をつけ、幾何学的な模様になるように処理しているのがナイフカットです。荒々しい雰囲気があり、幾何学模様が空間にアクセントとリズムを与えてくれます。オークなど厚みのある無垢材と好相性です。

スプーンカット

スプーンカットは、その名の通りスプーンで木材の表面をすくい取るようにカットした工法です。丸みを帯びた模様が特徴で、やさしくなめらかな曲線が部屋にあたたかみを与えてくれます。床材に採用する場合、ブラッシングを施すと足が床に吸いつくような快適さをもたらしてくれます。

ハンドスクレイプ

木材の表面をこそぎ取って凸凹をつけるハンドスクレイプ加工は、ヴィンテージ感を演出できる方法です。絶妙な凸凹加減は足で踏むと気持ちが良く、他の表面加工にはない直線的なデザインを取り入れられます。

なぐり加工をオーダーするときの注意点

木材のデザイン性を高められるなぐり加工は非常に魅力的。しかし、どんな木材でも加工できるわけではありません。基本的には無垢材のみ対応可能で、複数枚の板を合わせた合板では板が加工に耐えられない可能性があります。また、無垢材のなかでもオークやサクラ、ウォルナットなど、比較的硬めの木材のほうが加工にも適しています。
なぐり加工を職人に依頼する場合は手作業になるため、機械加工に比べてどうしても納期が長引き、1か月以上かかることも珍しくありません。注文する場合は余裕をもってオーダーしましょう。

なぐりの加工方法は紹介したもの以外にも、京風なぐりや竹縁、などさまざまな方法があります。メーカーによっては対応できない加工もあるので、自分が希望する柄や加工方法に対応してくれるかどうかを確認しながら、依頼先を決めるようにしてください。

無垢材の味を引き出せるのはなぐり加工最大の魅力

職人の手によるなぐり加工は模様のひとつひとつが異なって躍動感があるところが魅力。その一方、機械加工には模様が均等になることで落ち着いた味わいが加わるという特長があります。独特な文様で素材の魅力を最大限まで引き出してくれるなぐり加工を、無垢材にプラスしてみてはいかがでしょうか。

伝統的な表面加工技法であるなぐりを無垢フローリングに施すことによって木の表情が一層際立つようになり、味わい深い空間が生まれます。見た目が美しいだけではなく肌触りもやさしく、視覚と触覚両方の満足度を高めてくれるはず。お部屋に無垢フローリングを取り入れる際には、ぜひなぐり加工も選択肢に加えてくださいね。