木のある心地よい暮らし

素材別に床材の特徴を知り、納得いく家づくりにつなげよう

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床といえば、真っ先に思い浮かぶウッド調のフローリング。
でも、一見同じようなフローリングに見えても、本物の木なのか樹脂なのか、それとも塩化ビニルなのか、さらに本物の木ならどんな樹種なのか・・・。その素材によって暮らし心地には大きな違いが出てきます。

せっかくのマイホーム新築やリフォームの機会です。どんな床材があるのかをよく知ったうえで、わが家にいちばんフィットしたものを選びたいですね。

このコラムではフローリングをはじめとする床材を、素材別に詳しく解説していきます。
素材ごとに異なる特色やメリットデメリットをおさえて、オリジナリティのある、自分たちだけのくつろぎ空間づくりに役立ててください。

床材1:木質フローリング

現在の住まいで主流となっているのが木質フローリング。メリットとしてさまざまなテイストのインテリアに合いやすいことや、カーペットや畳に比べてダニが発生しにくいことが挙げられます。
大きく分けて無垢フローリングと複合フローリングの2種類があります。

無垢フローリングのメリット&デメリット

無垢フローリングは天然木を加工したものです。一番の魅力は、木のなかに含まれた空気がクッション材と断熱材の役割をして、ソフトな足触りと温かみを感じさせること。また調湿機能に優れ、湿気の多い梅雨時でもサラリとした感触が得られるのはうれしいメリットです。

また、ほのかに感じられる木の香りにはリラックス効果があります。芳香成分「フィトンチッド」が発散されて、森林浴と同じように心を落ち着ける効果をもたらしてくれることも無垢材ならでは。

ただしこうしたメリットの反面、湿度の変化が激しいと、寸法に狂いが生じて隙間や反りなどが生じることがあります。水分を吸い込みやすいため、濡れたまま放置するとシミやカビの原因になることも。
また、木への負担が大きいため、基本的に床暖房はNGです。ただ木そのものの温かみがあるので、床暖房は不要と感じる人も多いようです。

では以下で代表的な無垢材をご紹介していきましょう。

・杉

日本に古くから自生している杉は、日本の気候風土になじみやすい樹種です。特に柔らかい木質で、足触りのよさに定評があり、リビングや寝室によく使われます。ただ、その柔らかさゆえに細かな傷がつきやすいことがデメリットといえます。
節があるのが特徴で、最初は淡いピンクを感じさせる色目ですが、時間とともに薄い茶色に変化します。

・レッドパイン

レッドパイン(欧州アカマツ)も足触りの柔らかさが魅力で、リビングや寝室に使われることが多い樹種です。節の多い杉に比べると主張が控えめで優しい印象。明るい色目ですが、時間とともに深みのある色に変化していきます。
杉ほど柔らかくはないのですが、やはり多少細かい傷はつきやすいのがデメリットです。

・バーチ(樺桜)

木肌のキメが細かく詰まっているため、傷がつきにくく、衝撃を吸収する能力が高めです。
やや光沢があり明るい色目で、木目もあまり主張せず、部位による色のばらつきが少ないのも特長です。

・オーク(ナラ)

洋酒の樽や船の材料として使われてきたオークは、高い耐水性と耐久性が特徴。
木目のコントラストが弱いため全体的に統一感があり、洗練された印象を与えます。色味は少しずつ濃くなり深みが増していきます。
日本の住宅でもよく用いられていますが、硬くて割れやすいため、施工技術が確かな業者に依頼した方がよいでしょう。

・メープル

堅くて丈夫な樹種で、割れや摩耗に強く傷が目立ちにくいため、耐久性を求める方におすすめです。
色味はやや白っぽく、おだやかな印象。木目は繊細で絹のような光沢が感じられます。

・ブラックウォールナット

ブラックウォールナットは、硬めで耐久性が高く、衝撃にも強く、寸法の安定性に優れています。
使い込むにつれて、落ち着いた深みのある色合いがしだいに明るい色に変化するのが特徴。ただし価格は少し高めになります。

複合フローリングのメリット&デメリット

複合フローリングは、合板や集成材の上に天然木の単板や木目の化粧材を張り付けたものです。
工場生産品のため均質で、寸法の狂いが少ないこと、無垢材に比べると水濡れや細かな傷に強いことなどがメリットです。

しかし、足元に柔らかさや温かみは感じられないことや、調湿機能も期待できないことが無垢材との大きな違い。また細かい傷には強くても、深い傷をつけると自力では修復が難しいこともあります。
使うほどに味わいを増す無垢材に比べ、複合フローリングでは逆に年を重ねるごとに劣化が進んでしまうのは、デメリットのひとつといえるでしょう。

床材2:カーペット

ソリッドな質感のフローリングに比べて、カーペットは柔らかな感触が一番の魅力。また衝撃を吸収する、滑りにくい、冬でも温かいといった長所を持つ床材です。
ウールやコットン、シルクなどの天然繊維から、ポリエステル、アクリルなどの合成繊維まで、素材や色、デザインが豊富なのもメリットです。

また埃や塵を一時的にパイルに巻き込み、空中に舞い上げない効果があります。カーペットはダニが発生しやすいと言われますが、こまめに掃除をするならフローリングより空気をきれいに保てるということもできます。

その他、デメリットとしてはジュースやお茶などをこぼすとシミになりやすかったり、家具の跡がつきやすい点が挙げられます。

床材3:コルク